私の専門研究対象は、詩人マラルメですが、マラルメの詩には、ラテン語タイトルの詩はありません。そこで、マラルメが詩人として出発した時点で最も強い影響を受けたボードレールのラテン語タイトルの詩のラテン語の意味解析を行なっています。

詩の内容に関する解説はたくさん出ていますから、そちらを参照して下さい。

私は、あまり一般的に行われていないことをします。

semper eadem [センペル エアデム] イツモ同ジク(阿部良雄訳)

semperは副詞で「いつも」。英語のalways、フランス語のtoujours、ドイツ語のimmerに相当します。なお、直系子孫のイタリア語ではsempre、スペイン語ではsiempreですね。

eademはここでは代名詞で、「同じ」を意味する形容詞・代名詞idem[イーデム]の女性単数主格「同じ女が」。または、中性複数主格「同じものどもが」・対格「同じものどもを」も同形です。

[エアデム]と発音するのですが、[エアーデム]と「アー」を延ばすと、女性単数奪格になります。延ばす場合は、aの上にバー(長音符)を付けるのですが、通常は省かれます。なお、この女性単数奪格の形は、そのまま副詞にもなります。

このように、同形の変化形がある場合、研究者によって解釈が分かれることがあります。

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